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発禁本「美人乱舞」より 責める

1977年に公開された田中登監督作です。

主役の伊藤晴雨は実在の人物です。
演じるのは女地獄・森は濡れた『1973年公開。神代辰巳監督作』で怪演の山谷初男さんです。
山谷さんで印象に残っているのはこれくらいなものでして。
女地獄のときは少し痩せてて丸刈りだったので火野正平に似ていると思った。
今作では少し太っており高木均に似ているかな?なんとなくですが。

物語は深夜の荒れた老屋の静寂の中から始まった。
晴雨は股火鉢で酒を飲んでいる。タエ(宮下順子)が後ろ手にしばられて吊るされ、失禁の液体がしたたり落ちていた。
その世話をするのがタエの母親かね(南寿美子)であった。
タエはしばられ、氷の入った井戸水に入れられるが、無反応。母親は正気を戻すにはこれがいいという。
いったいどういうことなのか。

時間を少しさかのぼると、晴雨とタエの出会いは、タエのつとめていたカフェでだった。
女房運のない男と亭主運のない女の出会い、それは同志のようでもあった。
晴雨には、別れた妻が二人いた。シマ(工藤麻屋)とトキ(中島葵)である。
晴雨は二人を全裸で天井に吊し、それを見て、冷酒をのむのが常であった。悪趣味である。

二番目の妻は妊婦で逆さづり実験をしたらしいです。妊婦の逆さ吊りと聞くと安達が原の老婆を思い出します。
映画では妊婦だったかはわかりませんでした。
それで警視庁に十日ほど入っていたわけだが、すぐ巣鴨に放り込まれたらしい。

手をかえ、品をかえ責めまくる晴雨。雪の上を歩かせたり、雪に埋めたり、沼に沈めたりと宮下さんも大変そうである。
カメラ技師の織田俊彦と清水国雄も晴雨の思いつきに振り回されているが、写真を撮っている。
晴雨はモデルの苦痛を和らげるために写真を撮っていたという。

この作品はまともなセックスシーンがなく、普通にセックスを楽しんでいたら、タエの表情が死んだように停止した。
 瞳孔が焦点が定まらず、写真を破り捨てたりしていた。
 医者の長弘によると、麻痺性痴呆症、つまり先天性脳梅毒で、鉄格子の病室に入れられた。
 もっとも金がないので引き取ったが。病気は母親のへその緒から遺伝したというがどこまで本当やら。

 かねが晴雨を訪ねて来て、晴雨の作品を見た。そして、晴雨がつれて帰って来た。
 タエにとびつき、そして晴雨にしがみかかっていった。タエは無反応であった。
かねは虚ろな笑みを浮かべ、タエを責めることを晴雨にたのみ、そうすることによってタエが正気に戻ると考えた。
 普通の母親ならそんなこと思いつくはずもないが、彼女も普通ではなかったのです。

  晴雨はなるほどと再び老屋の静寂の中にロープのきしむ音が流れた。失禁の液体がしたたり落ちた。
 ここで冒頭のシーンに結びつくわけです。
蝋燭の蝋をたらされても、縄で縛られても無反応の宮島さんの演技が冴えました。

 しかし、タエは正気には戻らず、この世を去って行った。
 そして晴雨はさっさと火葬せず死体を縛っておけばよかったと後悔するのでした。
一応晴雨は三人まで妻を娶ったが、三番目の妻が精神病を病み、闘病していた事実がある。
 結構史実をあわせた作風になっております。
 子供は長男、長女がいますが、長男は戦死しており、戦火で今まで集めた資料が灰になったそうです。

 なんとなく団鬼六な世界だなと思いましたが、団鬼六は伊藤晴雨の縛り絵に影響されて小説を書いたとか。
 異形の宴という作品だそうです。

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宮下順子、中島葵 他

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