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女地獄森は濡れた

 1973年に公開された神代辰巳監督作です。原作はマルキ・ド・サドで、原題はジュスティーヌと呼びます。。

 この映画は劇場公開してわずか七日で上映禁止になったそうです。怖いもの見たさで借りました。しかしそれほどひどい映画とは思えないし、上映禁止にするほどとは思えなかった。

 大正時代、幸子(伊佐山ひろ子)は女主人殺しの濡れ衣を着せられ、3日間逃げ続けてきた。 そこへ洋子(中川梨絵)に拾われた。洋子はある山の中の屋敷に連れて行く。 洋子の主人竜之介(山谷初男)は変態であり洋子も同類である。女中の花(山科ゆり)とあり(叶今日子)を従えていたが、このふたりは頭が軽く善悪の区別がついてないのだ。

 伊佐山さんのおかっぱ頭はかわいいです。中川さんはおっとりした口調と、女王様のような口調を交える演技力を見せてくれる。山谷さんは軽い口調で狂言回しをする。残酷な悪党には見えず、一見好々爺に見えて、心の中は残忍な鬼を住まわせている感じだ。なんとなくダウンタウンの松本さんに似ている。

 竜之介はホテルを経営しており、めったに来ない客が来たら幸子に相手をさせ、それを見ながら竜之介と洋子は燃え上がる。 客の堀弘一と高橋明に自分たちの悪意を教えるがすでに遅い。彼らは捕らえられ、洋子と幸子に相手をさせる。 花やありに鞭を打たせ、竜之介は男の尻を掘るなどして、快楽を楽しんだ後拳銃で撃ち殺す。 さらに死体をテーブルに置き、肴にして食事を取る。堀さんと高橋さんは素っ裸で死体を演じているが、どんな気分だろうか?

 最後はラジオから流れるラジオ体操の放送が流れ、新しい客がやってきて、話は終わる。
どうでもいいが宿泊客が行方不明になるホテルを警察は怪しまないのだろうか?客の親子はなんか評判のホテルみたいなことを話していたが、映画に対して細かいことを言うのは野暮ってもんだ。

 快楽のために人を殺す作品はある。長谷部安春監督の暴行切り裂きジャックも似たようなものだ。 あちらはむしろ陰惨な殺人鬼の話だが、さわやかさがあった。 この作品も竜之介や洋子のキャラクターは残忍だがどこか愛嬌がある。それが作品の暗さを抑えているのだ。 ただ伊佐山さんのキャラはパンチが弱いと思った。どうにも独善的で悲壮感がない。いつも自己防衛ばかりしており、同情できない。やられているときも、しくしく泣いててあまり燃えない。 あと当時の流行歌を口ずさみながらのセックスは滑稽にも狂人にも見えるのが恐ろしかった。

 この作品が上映された時代が、この作品を上映禁止にしたのであろう。予備知識がなければ人殺しの大罪人が法律に罰せられず、快楽のみを追及し、幸福に暮らすのが許せないのだろう。 正直者はバカを見る。犯罪はやったもの勝ち。そんな風潮は国としても認められないだろう。 その作品が長い年月をえてDVDになり、私が借りて観ている。漫画や映画の絵空事と笑い飛ばせず、子供の未来のためと児童ポルノを取り締まる大人はのさばっている。ちなみに児童ポルノは未成年のセクロスはだめという法律だ。ただ児童ポルノの言葉だけが独り歩きしている気がします。

まあ、子供はこの映画を観ないだろうが、大人になればこんな世界はありえないと思うだろう。現実の事件のほうがよほど恐ろしいとわかっているからだ。 悪いものの基準を知るには、悪いものを観るのが一番だ。女性の裸を見るだけで興奮が出来るのは若さの特権だ。歳を得てエロを楽しむ余裕ができてくる。

 この作品はそれほどエロいとは思えず、悪徳とは思えない。 もっとも作家の澁澤龍彦さんがサド裁判を起こしたことがあるから、マルキ・ド・サドをマスコミが嫌っているのではないかと思う。政党には関係なく、マスコミって今も昔もエロを嫌っているね。

 あと大事なことがひとつ。山科ゆりさんは目立ってなかった。もっとも狂気の館の中で彼女の存在は至って普通といえた。白痴美が埋もれるほど、竜之介、洋子のキャラが濃すぎたといえる。幸子のほうは弱かったが。
女地獄 森は濡れた [DVD]女地獄 森は濡れた [DVD]
(2002/11/22)
不明

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